2018.
10.
04
翻訳フォーラム・レッスンシリーズの「英語圏の文化・教養・雑学・サブカル~引用に強くなろう~」に出席しました。
当日は台風が接近していて上京も危ぶまれましたが、往復とも予定していた新幹線で、行きは台風から逃げるように(台風を連れてとも言う)上京し、帰りは(翌日午後別の用事があったため)交通網の乱れも解消した翌日夕方に帰阪することができました。ここで今年の運はすべて使い果たしたような気がしています。この先、もういいことはないんじゃないかと不安です。めっちゃ不安です。
さて。
この講座は、今年の翻訳フォーラムシンポジウムの中のT橋(あ)さんの「ヲタクじゃないけどサブカル講座」が好評を博したため、レッスンシリーズとして独立したものです。
「参加できなかった方のために報告を」を信条とする屋根裏と致しましては、いつものように詳細にレポートしたいのですが、ジツは、来年1月20日(日)PMに、大阪でも、基本的に同じ内容の講座を開催して頂くことが決まっています(「大阪でもレッスン」招致事務局「臨時」スタッフから足抜けできないSayoなのだった)。
ということで、今回は、大阪版に参加される方の楽しみを奪うことがないよう、ごく簡単に、奥歯にものを挟みつつレポート致します。悪しからずご了承ください。
あ、これだけは言っておきますね。T橋(あ)さんは、やはりとても楽しそうでした。
講座は、大きく分けて、サブカル以前とサブカルの2部構成でした。
サブカル以前では、聖書やシェイクスピアを中心に、シンポジウムでは言及されなかったさまざまな作品について、サブカルでは、映画やTVドラマを中心に音楽や文学作品にまで言及がありました。しかも、それぞれ「知っておくとよいキーワード」付きという親切さ。
さらには、いわゆるサブカルチャーが花開く時代背景、米国でスターウォーズよりスタートレックの方が引用元として好まれる理由の説明なども。
私は、普段、引用とは無縁の毎日を送っていますので、正直ついていけないものもありましたが、それでも、最初から最後まで楽しく話をお伺いすることができました。
「引用される可能性があるもの」として、タイトルだけが挙げられたものも含め、本当に多彩な作品に言及頂きましたので、それだけでも収穫だったと思っています。今後、英語の文章を読むとき、それらが記憶の片隅からよみがえってくれるやもしれません。講座では、「鼻がきくようになる」という言葉が使われていました。ただ、F井さんの仰った、「アンテナを立てておかなきゃと思いすぎても、間違った道にはまり込んでしまうので注意が必要」という言葉も忘れずにいたいと思います。
参加者には課題が出され、それに取り組みながら、「どんな風に、どこまで引用を活かす訳文を作ったらいいんだろう」とずっと考えていたのですが、同じことを考えていらっしゃる方が何名もいらしたようで、講座の中でもそうした質問が出ました。
それに対する回答をまとめると、読者層(英語文化に慣れているかどうかなど)、素材の種類(どんな文章なのか)をよく吟味しつつ、最終的には訳者責任で訳文を作っていくということになるでしょうか。
実は、私は、「日本の読者が読むのだから、日本語に似たような引用があれば、それを使ってもいい場合もあるのではないか」と考えていたのですが、その点については、原文の世界観が変わってしまうような訳語を用いるのは望ましくないのではという回答があり、ナルホドと思いました(それはそれとして、日本文化についても、もっと知っておかなければならないという思いを新たにしたのでした)。
この点が、ある程度明確になったのも、自分の中では収穫でした。
引用とは関係ないのですけれど、「どう訳す」という話をお聞きする中で、自分(訳者)のスタンスを決めるときにどんなことに注意すればよいかについて書かれた記事を思い出しましたので、参考までにURLを記載しておきます。
ノンフィクションや雑誌記事の翻訳をなさるI坂彰さんが書かれたものです。
http://aiwasaka.parallel.jp/webmagazine/WEBマガジン出版翻訳 岩坂彰の部屋-翻訳者が伝えるべきもの.htm
翻訳フォーラムのイベントブログでは、今回の講座で紹介された書籍や資料が、一覧できるようになっています。ありがたいことです。
http://fhonyaku.blog.jp/archives/77115808.html
...というような、盛りだくさんな内容の楽しい講座を、大阪でも開催して頂きます。
翻訳フォーラムさんから、11月頃案内される予定です。興味のある方は、今からまるっと予定表にしるしだけお願いできたらと思います。